北海道 花の季節

 我が家は畑の真ん中にありその畑の回りには防風林や森が見えるのです、冬の間葉っぱが落ちていた樹々が日を追って葉をつけ黄緑色になっていくのがわかります。例えるなら黄緑色の絵の具の入ったスプレーを一度シュッと吹きかけたように全体が少し色づき、また次の日もその上にシュッと吹きかけて色が濃くなっていく、という感じです。葉っぱを近くでよく見るとクルクル丸めた紙の片側を少し開いたような状態から、開いていてもセミや蝶が蛹から羽化したばかりのような薄緑色の状態になっている感じです。また低いところを見ると沢沿いや湿ったところでは水芭蕉もあちこちで咲いています。水芭蕉というと尾瀬が有名で私も埼玉に住んでいるときには遠出してよく見に行ったのですがこちらではちょっとした湿地や沢沿いのそこかしこに生えていてそれこそ雑草。(でも花のように見える白いところは葉っぱの変形したもので実際の花はその中の塔のような部分に咲いている)

 そしてこれからは本格的な花の季節がきますので今回は「北海道、花と風景の旅」をお伝えします。

 北海道の旅は海沿いをぐるっと一周、という目標を立てる方も多いのですが一周するその海沿いに原生花園と呼ばれる自然のままの花が咲く場所が何ヶ所もあるので寄っていくことをおすすめします。原生花園は6月から9月ごろまで色々な花が咲くのですが特に7月上旬ごろのオレンジ色のエゾスカシユリや黄色のエゾキスゲなどが華やかな群落をつくり見事です。逆に地味だけど恋の花と言われるクロユリや、紫でいい香りのハマナスなど季節により色々な種類の花が見られます。その主な原生花園の場所ですが北海道の地図を想い浮かべてみていただいて、まず一番上の稚内のちょっと左下にサロベツ原生花園があります。ここは海を挟んでそびえる利尻島を見ながら果てしなく続くような直線の道路を走り続けて少し陸側に入ったところにあり回りの風景があまりに広大でとても日本とは思えない、というところに広がる原生花園です。

 稚内からオホーツク海を右下に降りていくとまっ平らで逃げ水が見えるほどの長い直線道路の近くにエサヌカ原生花園があり次にベニア原生花園、サロマ湖のワッカ原生花園、そして小清水原生花園があります。ここはウチからも車で20分ほどで網走と知床の間の幹線道路沿いにあり行きやすく身近な原生花園でしょう。汽車の車窓からも楽しめます。そして知床半島の下、根室半島との間に野付海岸原生花園があります。ここは私も特に好きなところで海の上に伸びる細長い回廊のような、しかし原生林もある浮世離れした風景があり7月上旬に一面に咲く黄色のエゾキスゲの群落は本当に見事です。でもこのエゾキスゲは1日から3日ぐらいですぐに花は終わってしまうので見に行くタイミングが難しいのですが・・

 それに北海道の右下の根室から左に向かう釧路までにいくつもある湿原も原生花園という名前はついていないけど、アヤメやツツジなど多くの花が楽しめます。そしてこれらの原生花園の多くには併設して自然センターがあり、ここで花や鳥の解説などを見たり聞いたりすることができるので是非寄ってみてください。またそこに勤める自然解説員さんは自然がとても好きで来ている方ばかりで、「ここの素晴らしさはなんですか?」というような質問をしてみれば、きっと熱く答えてくれると思います。

 「思ったより花が少ないな」と思う方も多いと思います。でも感じ取ってほしいのはこれが群生する野生のままの花の密度であり自然の姿だということです。人間にあてはめると人の手で作った一面の花畑、というのは花にとってはマンションや団地に住んでいるようなもの、野生で自然な間隔で咲く花は一戸建てに住んでいるようなもの、という感覚だと思います。

 北海道は食べるものもとても美味しく、「花より団子だ~」という旅を考える方も多いと思いますが、花も団子も楽しめるのが北海道のこれからのシーズンです。花めぐりの旅オススメです。

2016年 5月