北海道の服装と靴

 遅い春と早い冬の衣替えの季節になるのですが、北海道は季節外れの暑さや寒さが頻繁にくるので衣替えのタイミングがとても難しく、いつも「あ~厚手のジャケット仕舞っちゃったよ・・」とか「あ~薄手のシャツ出しておけばよかった・・」ということはしょっちゅうです。

 また私は宿をやっているので、これから来られるお客さんに「今の気温はどうですか?どんな服装をしていけばいいですか?」とよく電話やメールで聞かれるのですが、例えば「10月の今ごろで朝晩は5℃ぐらいに下がったかと思うと日中は25℃近くまで上がって半袖でも汗をかくときもありますので温度差の幅の広い対応のできる服装で」なんて答えにならないような答えをしています。

 そのような気候のため、朝はジャケットを羽織り、昼はTシャツになり、夕方はシャツを着るといった一日で四季を味わっているような服装をするときもあります。このように北海道では快適に過ごすためには同じ一日のうちでも時間と天候によって服を頻繁に脱いだり着たりするのも特徴でしょう。

 そして一番他の地域と気候が違う北海道の真冬は皆さんどんな服を着ているのかな、と疑問に思いますよね。私は外に出てのガイド仕事や観光したりするなら上半身は厚手のダウンジャケット、下半身は普通のズボンの上に中綿入りのオーバーパンツをはいています。もちろん厚い靴下は必需品です。それでも寒いときはズボンの下にモモヒキ(タイツ)をさらに履いて、手袋、耳の隠れる帽子やマフラーやネックウォーマーといった装備で肌の露出を極力抑えた格好をします。ただ真冬は風のある外でじっとしているとどんな格好をしても寒いです。特に工事現場での旗振りの仕事やワカサギ釣りなどは厳しく、目いっぱいの厚着にプラス体中に使い捨てカイロを張ったりしてしのいでいます。

 しかし!北海道の冬の室内は暑いぐらい暖かで、多くの家は強力な暖房で約20℃~25℃にしています。そのため外に出るときには厚いダウンジャケットを着ますがその下にはトレーナーTシャツ、オーバーパンツの下はジーパンといった意外にライトな格好で1枚脱げば室内の暑さに対応できる、という服装をしている方が多いです。私は北海道に来てからフリースやセーターはめっきり着なくなりました。これは室内で過ごすのに寒いところはあまりないのと乾燥しているため静電気がおきるからです。しかしたまに寒い時期にさいたまに帰省するとどこも室内が寒く本州の人は寒さに強いなぁ・・といつも感じます。北海道の人は家の中で寒がるというのは本当です。

 あと本州と特に違うのは靴です。我が家のように北海道でも周りを見渡すと人より鹿やキタキツネが多いような郊外に住んでいると履くものといえばサンダルか長靴。たまに遠くに外出する時はスニーカーなど歩きやすい靴を履きますが、特に自営業で家にいることが多く日常生活では長い時間歩くということが無いのでかんたんに履けるサンダルが定番です。でも家の周りは一面の畑作地帯で土が多く敷地も砂利や雑草のためサンダルといえども底の硬くて厚いものが使いやすいです。一時流行したとても軽くて軟らかいサンダルで慌てて外に出るととがった砂利を踏んで「痛ってぇ」となったり、泥を「ぐちゃ」と踏んづけて「あ~あ靴下まで汚れちゃった」となることもしばしばです。

 そして長靴。長靴は田舎暮らしの必需品でもはや制服のようなもの。庭の草刈りや土木作業、野良仕事、洗車、釣りなど万能です。

 特に雪の積もる冬は毎日長靴で、愛用しているのは雪が靴の中に入らないように長靴の上の部分がヒモなどで締められるようになっていて靴底は凍った場所でも滑りづらいものを履いています。長靴も冬用は防寒仕様で中がスポンジのようなものが張ってあったり、フエルトやウレタンなどの保温素材でできたインナーという足袋と外側のゴム長靴の2重構造だったりするものもあります。でも長靴は素材がゴムなので毎日雪かきや野良仕事で使っていると私の場合、だいたい足首の曲がる場所やゴムの厚さの変わるところがひび割れて水がしみてくるようになりお役御免で一年に冬用一足、春~秋用一足を買っています。

 また、「北海道へ冬来る時にはどんな靴がいいのですか?」ともよく聞かれるので、「冬靴がいいですよ」と答えてしまい「冬靴ってなに?」と返されて「ああそうだ、冬靴ってこちらでは一般的だけど雪も無く寒くない地方では、使わない普通知らない言葉だな」と気がついて説明します。その冬靴とは雪の入りづらいくるぶしぐらい以上の高さのある防寒靴のことです。

 もし秋から冬に北海道に来られたなら是非洋服屋さんやホームセンターに寄ってみてください。寒い場所は寒い時期に色々なノウハウのあるものや暮らしのヒントが多くあります。そして、「へぇ~北海道の冬はこうやって快適にすごすんだ」という面白さを感じてくださいね。

2016年 10月