キタキツネとこんなものあったらいいな

アイヌ語で「チロンヌップ」・・「どこにでもいる生き物」の意味でもある北海道で一番身近な野生動物のキタキツネについてお伝えします。 この動物は街中から山の上、海岸までどこにでも出没して都会でいうと野良猫のようにいる感じる存在です。

キタキツネというとエキノコックスという人にも感染する寄生虫がいるといわれていて(全部のキタキツネにいるわけではない)もちろん体や糞に触ったりしないようにとか犬が感染しないようになど気をつけていますが観察しているとカワイイだけではなくホントに野生動物としての凄さ、たくましさ、繊細さ、優しさを感じる動物です。

主食は野ネズミで春の時期は畑をトラクターで耕しているときに畑から逃げまわったり一緒に耕されて死んでしまったネズミを何匹もくわえて子ギツネの ために巣に持ち帰る親ギツネをよく見かけます。

キタキツネは賢くすばしっこくハンターの方からもらった骨付きのエゾシカの肉をウチの犬に「ご馳走だよ~」とあげるのですが人も犬もちょっと目を離したスキにサッ!ともっていかれたこともあります。

また地方では馴染みのある生ごみを堆肥にする「コンポスト」という底のないバケツを逆さまにして土の上に置く容器がありそこに毎日生ごみを入れていたら2~3日ですぐに無くなっていて「いや~土の分解能力って凄いなぁ~」と思っていました。でもよく見ると後ろ側から穴を掘ってゴミの下の方からお持ち帰りしていた、ということもありました。こちらにしてみたら「畜生、やられた!」というより「凄い、たいしたものだ!」と感心し、昔話によく「キツネに化かされた」とか出てくるのも納得だなぁ~と思った次第です。

また犬との攻防でもキタキツネは頭脳プレーヤーでウチの犬(ムギという名)が綱で繋がれていて動ける範囲を知っていてその2メートルぐらい先までやって来て「またエサをとってやろう」と様子を伺っていたりします。そのときキツネとたぬきの中間みたいな色形のムギは激しく吠えるのだけどしっぽを振りながら吠えているからどうやら遊び相手が来たと思って大喜びしているワンワンのようです・・番犬になっていない・・

逃げるときも軽快で犬が全身全力でハアハア走るのに対してキタキツネは軽快に体もあまり上下動が少なく太い尻尾を真横にして流れるように走っていくのです。これも見事な野生の凛々しさを感じます。また体が軽いわりに足が大きいので積もった雪の上でも足がもぐりづらく前足で踏んだ踏跡の上に後ろ足を置くような歩行をしていることが多いです。これは雪をかき分けたり踏み固める歩数を少なくする省エネ歩行をしているのだと思います。

このように北海道の田舎である我が家の周りでは野生動物と出会うことも多いですが実家のある埼玉や東京のような大都会でも探してみると意外に鳥やイタチなどの野生動物もいることがわかります。先日も帰省したとき「けっこう動物いるのだな、でもなんで気がつかないのだろう?」と考えたら、どうやら身の周りに必要のない余計な音や光、動くものが勝手に耳や目や鼻から入ってくるからそちらに無意識に気を取られていたのではないかと最近わかってきました。

そこで提案・・携帯音楽プレーヤーやスマホなど情報を聞く、見るという機器はずいぶん発達したけど都会の喧騒や騒音、余計な音などを聞かない、見ない、知りたくないものをしらない、自然の音しか聞こえない、という機械やソフトが出てこないなぁ~?ドラえもんがポケットから出すように世の中にでてこないかなぁ~などと思ったりしています。

メーカーさんか誰か作ってくれませんか?

こういった意味でも田舎は落ち着く、とか安らぐっていうのは「音が静かで不自然に動くものが少ないから」ということが大きいとわかりました。 皆さんも是非北海道の田舎の大きな観光資源である(と私は思っている)人工的な音や動きの無い世界を体験しにきてほしいと思います。

2015年 4月