北海道、広さと自然を味わうオススメコース 東(右)半分編

 前回は北海道の一番の特徴である広大さを味わっていただくための私のオススメプランということで小樽や札幌から最北端の稚内、そしてオホーツク海側を南下して知床まで、ということでオススメの場所をお伝えしましたが今回その続きの知床から先をお伝えします。

 前回と同じく菱型のそろばんのコマのような形が北海道だと思ってください。今回はその菱型の北海道の右側半分のオススメコースです。まず知床峠から国後島を見ながら海沿いに出て南下して野付半島へ。この野付半島は私も特に好きな場所で知床半島と根室半島の中間にあります。ここは中学生ぐらいで習った「砂し」という海流で運ばれてきた砂で出来た細長~いヒゲのように突き出た半島です。ここの一本道は両脇が海でその細長い半島の所々が原生林や湿原、原生花園で幅広くなっていたり、その原生林の樹々が立ち枯れていたりしていて実に不思議な光景です。荒涼としている、しかし自然のままの森や広大な原生花園、鳥、鹿など動植物も多く自然の息遣いが聞こえるような他の地域には無い独自の雰囲気で海の中に森が浮かんでいるという感じのところです。

 次にこのヒゲのような半島を往復して一度内陸に入ります。地図を思い浮かべていただくと北海道の一番右側からちょっと内陸に入ったところに地球が丸く見えるという開陽台があります。この丘はその名のとおり広大な酪農地帯がパノラマで見える「これぞ北海道!」という風景の見える場所。そしてその下の北19号という道路は大きなスケールでアップダウンを繰り返す直線道路で、遠くのバイクや車が視界から出たり入ったりしながら近づいてくる、あるいは遠ざかっていくのが見える面白い道です。よくバイク雑誌の表紙を飾る北海道の代表的な道です。またこの開陽台のある中標津町、その隣の別海町という町の周辺はどこの道路も素晴らしいのですが特に何ヶ所かある何々農免道路という道路はキレイに舗装されていてかつ交通量も極めて少なく大酪農地帯の真ん中を貫くひたすらまっ平らな直線や丘のアップダウンを繰り返す爽快な道で最高な気分でドライブできるでしょう。ちなみに私も最初にこの周辺を走ったとき広大さに感激し「いつかはこの北海道に住もう!」と決めた地域でもあります。

 このように東北海道の内陸を少し走り回ってから北海道の右下の端(東の端)、根室半島へ向かってみてください。この半島は野付半島とも違う荒涼感、最果て感があるのですが樹木の少ない陸地は生命感をあまり感じないのに海の恵みは素晴らしいという不思議なアンバランスさを感じていただければと思います。

 そしてまた素晴らしいのが、北海道の菱型の地図でいうと右下の海沿い、根室と釧路の間です。夏は霧が多いので春と秋の天気のいい季節がオススメで、観光客もまだ少ないのに、断崖、湿原、奇岩、原生林といった第一級の自然が残っています。「知床」「摩周湖」のように有名ではありませんが、ここの湿原や数多くやってくる野鳥に魅せられて移住してきた人もいる魅力的な場所です。この根室~釧路間の海沿いのコースは約160キロと意外に距離があるのとみどころも多いので丸一日はかけたほうがいいとおもいます。特にオススメなのが落石岬という岬に行くハイキングで、ここは原生林を抜け、原野に出て、断崖絶壁の岬へと歩く片道20分ほどのコース。「これぞ北海道太平洋側の自然だ!」といえる場所です。さらに海沿いを釧路方面に向かうと霧多布湿原を見渡す琵琶瀬展望台、さらに西へ進むと私が個人的に好きな厚岸の水鳥観察館の2階から見る風景があります。ここは湿原と湖の横に鉄道が走り、またその車両もルパン三世が描かれていたりして(作者のモンキーパンチさんが厚岸町の隣の浜中町出身)鉄道ファンの方にも楽しい風景でしょう。

 今日の案内は釧路手前までですが、この行程の中での食の楽しみもとても多く、野付半島はホッカイシマエビとホタテ、直線道路の続く開陽台や別海町などちょっと内陸なら地元ブランドの牛乳とソフトクリームなどの乳製品、根室は海産物ならなんでもこいですが、脂がのりにのったメタボサンマ、そしてやはり花咲ガニ、厚岸町はもちろんカキ、とグルメも満載です。

 自分でも北海道の中でも特に好きな場所なのでこの東北海道編はとても細かくなってしまいましたが、「これぞ北海道」という広大さと味を是非堪能しにおいでください。

2015年 11月