春の北海道、というと北海道以外の方はどう想像するでしょうか?4月になっても雪が降っています、なんてことをニュースで聞くとたぶんまだ雪がたっぷり残っていて寒いのだろうな、というイメージを持たれるとおもいます。そのようにたまには寒くて雪が降ることもありますが多くの日は気温も高く陽射しも強くバイクツーリングもできるほどの暖かさです。気温はとても乱高下するのですが昨日の最高気温が5℃なのに今日はいきなり25℃といった極端に変わるのも北海道の特徴です。
まず目で感じる春の北海道はやはり雪解けですがその雪解けの春が来るのは意外に早くて3月下旬~4月上旬には畑の雪は無くなり段差のある吹き溜まりに少し残っているという程度です。また庭の隅には除雪した雪を山のように積むところがありそこの雪も少しずつゆっくり解けていくのだなと普通は感じるとおもいます。でも毎日見ていると最初は確かに少しずつ解けていくのですがそのうち雪山全体が暖まって一気にシューッと(大げさに言うと)風船がしぼむように急速に解けていくのです。これも「ああ、こうやって解けるのだ!」と新しい答えを見つけた気分です。また暖かい風が吹いているときは雪の冷気が飛ばされ解け方がとても早くて「雪解けのキーポイントは暖かい風なのだ!」というのが実感できます。これはドライヤーをあてている感じです。
また面白いのは何日か動かさずに置いておいた車では踏み固められたタイヤの下の氷だけがなかなか解けなくて、でもその周りは解けていて何センチかタイヤが浮いているようにみえるのです。その車をエイッと押したらドンッと落ちそうです。
また森での雪の解け方はまず木の幹の回りがクルッと解けてきて根本の土が見えてきます。雪国の方はよく見かけると思いますがこれは雪根開きといって木の幹に太陽の光が当たって回りの雪に反射して解かしたり太陽や地熱で暖められた幹の回りがまず先に解けてくる現象です。森に入ってこの木の幹の根本を除くと「ああこのぐらいまだ雪が残っているのだな」という残雪の深さがわかります。
またウチの前にある斜里岳の雪解けも「お~解けてきているなぁ~」というのがわかります。それは真っ白だった山の上のほうの岩場や低い木が無精髭が伸びたように黒くツンツンした感じに雪から顔を出してくるのです。それと広い斜面では雪の表面が昼の暖かさで解けて次は夜の冷え込みで凍って氷となり、次の日の太陽の光を反射してキラキラと輝くことです。
あと春といえば桜ですがこちらオホーツクの開花はだいたいGW後半ごろからです。特によく見かけるのはエゾヤマザクラという種類でソメイヨシノのように白い花が枝が見えないほど咲き乱れるっていう感じではなくてちょっと濃いピンク色の花が木全体に散りばめられているっていう自然で可憐な感じの綺麗な花です。
次に耳で感じられる春は鳥の声。冬の鳥である白鳥は「クワークワー」と鳴きながら北へ去っていき「カッカッカッカ」と鳴いていたオオワシも北へ向かうのでみるみる数が減っていきます。そのかわり家の前の畑にはヒバリが「チイチクパアチク」と鳴きながらやって来ますしキツツキは冬のあいだは「コンコンコン」と木を突いてエサを探す音を出していたのが「タララララー」と凄い速さで木を連打する「ドラミング」という音を出します。これは「そこの彼女~ボクの音を聞いてよ~」という恋の音です。他の小鳥たちも少しずつやって来ていて綺麗な声でさえずり春本番を音で感じます。
暖かい春というものを体で感じることはどこでもできますが一気に解けていく雪と動植物の春の営みを目と耳で感じられるのはとても幸せな気持ちです。今は移住体験住宅といって1ヶ月ぐらい滞在できる家も日本の地方のあちこちにありますのでそんな季節の変わり目に雪国に滞在してみるのもオススメです。