こちらでは色々な虫たちに季節を感じさせてもらったり逆に悩まされたり驚かされたりしています。5月の暖かい日はエゾハルゼミというセミがいっぱい鳴いていて森や家の周りの樹々はとてもにぎやか。でも6月初旬だというのに夜には氷点下になり日中も3~4℃ととても寒い日が続いた後、このうるさいぐらいに鳴いていたセミたちがそこかしこの樹の幹や葉っぱの上で動けなくなっていました。(つついてやると少しだけもじもじする)また数日後に暖かくなり鳴き始めましたが昆虫や小鳥などの小動物にとって季節外れの冷え込みというのは大変な大寒波で人知れず命を落とした生き物たちも多いと思います。
また虫って人にとっては不思議な生き物で幼いころはアリでもてんとう虫でもクワガタでもカブトムシでも平気で触っていたのに大人になってくると特に女性は「うぁ~気持ち悪い~」とかいって避けたがるかわいそうな存在。こんな女性にかぎって小さい頃は平気でミミズとかダンゴムシとか掴んでいたものですけど・・なぜでしょう?
そしてその虫について北海道にきてビックリしたのは、ある一種類の虫が季節や年、場所により大発生する、ということです。
ちょっとぞっとする話ですが、幼いころトンボやバッタを追いかけていたころに戻って読んでいただければと思います。
1匹、2匹、4匹、8匹と倍々で寄ってきて写真を撮るためにジッとしていると体に何十匹もたかられてチクッとやられます。開拓時代は馬や牛がアブに真っ黒になるぐらいたかられて刺されて死んだなんていう話も聞きました。でもこんなアブもお盆を過ぎるとピタッといなくなるのです。
そして我が家は畑の中にポツンと1軒建っているので夜は窓に虫がたくさん飛んできます。クワガタ虫(ミヤマクワガタ)やカブトムシ(北海道では本州から人が連れてきた外来種です)そして一番多いのは蛾で、うわ~気持ち悪い、と最初は思っていたのですがよく観察するとキレイな緑色で姿も蝶に近くどことなく品もあって、ヒラヒラ飛んでいたら蝶と間違える美しいやつもいます。(アオシャクという種類の蛾)またよく女性が「私は夜の蝶になるの」となんて言うのを聞くと私はあのキレイな蛾を思い出します。
この蝶と蛾、昼間にヒラヒラ飛んでキレイだと親しみを持って受け入れられるのが蝶、夜に地味な色でバタバタと飛んできて嫌がられるのが蛾ですが、あのキレイな蛾に言わせれば「私こんなキレイなのになんで蝶ちょみたいに愛してくれないの?」という声が聞こえてきそうです。
また秋にはてんとう虫も大発生するときがあり家の外壁には数百匹以上が歩きまわることがあります。背中の星の数も一つから10ぐらいだったり黒かったり、レンジ色だったりと種類が違うように見えますがこれは一つの種類のナミテントウというてんとう虫。害虫ではなく良い虫の益虫で作物や草木につくアブラムシをせっせと食べてくれます。家庭菜園などをやっている方は見たことがあるとおもいますがこのアブラムシも大発生することがあってそのあとにてんとう虫が「わ~い、ご馳走だ!」と追いかけるように大発生したことがありました。生物の世界とはバランスがとれているものです。ニュースでは千葉の高校生がこのてんとう虫を一時期接着剤で羽を開けないようにし飛べなくして畑に放ちアブラムシ対策に効果を上げていると聞き素晴らしいアイディアだと感心しました。
その虫たちも北海道では草木とともに「ワッ!」と発生して夏が過ぎ9月下旬ごろ冷え込んでくるとパタッと急に姿が少なくなり冬眠のねぐらを探したり次の世代に命を繋いだりします。11月ごろ薪割りをしていると桃太郎やかぐや姫のようにパカッと割った木からクワガタの幼虫が出てきたり土の上に放置してあった木をどかしたりするとじっとしている虫たちがでてくるのですが氷点下20℃にもなる冬を越すのに少しでも寒くないところを本能で探すことをみていると凄い能力だなぁ、といつも感心させられちょっと気持ち悪い虫でも畏敬の念を感じてしまいます。
これから北海道に来る方は虫の多い場所もあるかとおもいますが刺すような虫にはご注意を。