北海道短期移住・別名長期滞在のススメ

 私は20才のころからずっと住みたかった北海道の、それも自分の理想とする場所をここの清里町に見つけたのですが涼しくて爽やかな季節に訪れたことのある方でしたら北海道に住んでみたいなという思いのある方もいると思います。

 そんな住む、なんて大それたことを~という方もおられると思いますしたしかに私の来た20年ぐらい前までは「移住」ということは一般的ではありませんでした。しかし近年は、田舎へ移住することは国も奨励しているほど一般的になり私のように、人生のすべてをかける!みたいな一大決心をしないと移住できないという時代ではなく、ちょっと住んでみる、というように気軽に長期滞在できる住宅が多くの市町村で用意されて使えるようになりました。もちろんここ清里町でも移住体験住宅がありますしインターネットで「北海道 移住」とか「北海道ちょっと暮らし」などと検索していただければどんどん情報が得られます。(移住体験住宅は今は人気が出て、6月から8月ぐらいまではどこもすぐに予約でいっぱいになります)

 ちょっと住んでみる、とは、イメージ的に例えばウィークリーマンションとか貸し別荘に一週間から一ヶ月ぐらい滞在するという感覚で住む場所が普通の住宅だったり廃校になった学校の教員住宅だったりで家財道具も一式そろっています。

 市町村が移住を推進しようと動き始めた最初の頃は試しに何日か滞在してもらってその後は本格的に移住してもらい過疎の進行に歯止めをかけるとの目的でしたがやってみると実際に移住する方は少なくて春から秋に避暑のために滞在したり自分の好きな季節だけ住んでみたい、でも別荘を持つほどではないし・・という首都圏の自分の家と北海道の滞在先を使い分ける滞在型が多いことがわかりました。でもこれはこれで経済効果もあるということがわかり行政も今は支援している状況です。

 私も急激に過疎化していくこの町に少しでも人を増やしたいとの想いで宿のHPで北海道移住記というものを書いて公開したり泊まりに来られたお客様の移住相談などをやっているのですが最初に思っていた完全移住ではなくてもこのような2地域間居住というのも人それぞれの事情で良い人生を送るためにはいいものなんだな、と思うようになりました。

 こういったいくつかの地域で好きな時期にだけ住んでいる方はやはりいまさら何十年も住み慣れた自宅を簡単には離れられないなぁ~近くに孫もいるし、という方や会社経営などで忙しいときは出られない、という方が多いようです。

 また1か所に何日か滞在するという一つの旅のスタイルは欧米では一般的でそれに対して今までの日本では毎日移動するのが旅。短い休みで少しでも多くのところに行きたいという考えがあったと思います。これまでこうした移動型の旅行をしてきた方、特に旅は疲れるからもういいや、という方にもこの1か所に長く滞在する、という旅というか滞在することは移住気分も味わえて本当にリフレッシュできてオススメです。観光しない日は北海道のスーパーなどをゆっくり見ると変わった魚や農産物があったりホームセンターなどでは雪かき道具や薪ストーブ農機具などが充実していて面白いです。

 それに北海道は自然の中で遊ぶことについては別世界です。雪が解けてからの季節はまず花めぐり、特に原生花園めぐりが素晴らしいです。この原生花園と言われるところは海沿いの砂丘に多いのです、手の加えられていないユリやハマナスなど自然のままの花々が自然な間隔を保って可憐に咲いている状況をみて「野生の花はこうやって咲くんだ」と感じてもらえればいいと思います。見頃は5月下旬ごろから7月中旬ぐらいまでです。

 また原生花園には野鳥も多数やってきます。北海道の鳥の8割ぐらいは冬は本州など南に渡っていくと言われているのですがその鳥達も多く戻ってきてキレイな声で鳴いています。キレイな声で鳴いているということはオスが近くにいるメスに「こっちおいでよ」という意味でさえずっているので双眼鏡などで探すと地味な色をしたメスを見つけることができます。

 また花に関しては、大雪山などではロープウェーを降りてすぐのところが高山植物の群落で「わぁ~これが高山植物か!」という気軽に見られるとても素晴らしい場所もあります。

 このように登山までしなくてもちょっとしたハイキング気分で行ける場所もあるので同じところにちょっと長く滞在し北海道生活を満喫してもらえればと思います。

2015年 6月