北海道、広さと自然を味わうオススメコース 真ん中編

 前回までは北海道は広い!というその魅力を感じていただくための私のオススメプランの小樽や札幌から最北端の稚内、そしてオホーツク海側を南下して知床、そして野付半島、根室と来て釧路まで時計回りにお伝えしました。今回はその続き、北海道の形でいうと右下の釧路から中央方面の十勝と大雪山までをお伝えします。

 釧路というと釧路湿原。ここは日本一大きい湿原なのですが湿原というのは字のとおり水が多くそのため平らで植物も多いので湿原内に入ってしまうと見晴らしはききません。湿原を「でっかいなぁ~ここは!」と感じるのは高いところからみることで特に行きやすく見晴らしの良いのは釧路からも近い細岡展望台です。ここからは日本100名山の雌阿寒岳や雄阿寒岳、ウチの裏山でもある斜里岳も遠くにみながらの広大な湿原が眼下に広がります。そして湿原内部を味わうなら釧路川のカヌー下りがオススメで体験をさせてくれるガイドさんも何人もいます。

 そしてここから内陸方面へ向い(北海道の菱型の地図を想い浮かべてもらうと右下から左に向かう感じ)有名な摩周湖、屈斜路湖、阿寒湖などを観光するのもいいのですが、ちょっと深く掘り下げて摩周湖からの湧き水を見るというのも面白いです。この摩周湖は噴火した火口にできたカルデラ湖で入る川も出る川も無いという湖なのですが、実は山の麓のあちこちから水が湧いているのです。そのうちの一つが知床半島の付け根にあるここ清里町に神の子池という池があります。ここはコバルトブルーに透き通るとても綺麗な小さい自然の池で日本には北海道にしかいないオショロコマというイワナの仲間が泳いでいます。また釣り人しか知らないような西別川という川も摩周湖の湧き水といわれていてこの川の上流はバイカモという金魚鉢によく入れている緑の水草が生い茂る川で本州だと富士山の湧き水といわれる静岡県の柿田川の縮小版のようなとても美しい川です。ちょっとわかりづらいですが探検するつもりで行ってみても面白いです。ちなみに釧路川の源流は屈斜路湖、阿寒川の源流は阿寒湖で、ともに森に囲まれた自然の湖からは濁流が流れることはあまり無く、いつも澄んだ水が流れ出るので上流部はとても綺麗です。また阿寒湖から30分ほどのところにあるオンネトーという湖は水自体が青くまた湖面には正面の雌阿寒岳と阿寒富士が映り込んで絶景です。

 ここからさらに北海道の真ん中へ向かうと十勝です。十勝とは帯広を中心とした畑も酪農もできる肥沃な大地なのですがここの広大さもまた格別。四方八方が平らで広い、というところで縦にも横にもひたすら真っ直ぐな直線道路が通っているのでカーナビで目的地に向かうだけでなく一本横道に入ってみてください。車通りも少ない広大な大地が独り占めできます。そしてこの十勝平野を展望することができるのが北側の上士幌町にあるナイタイ高原牧場というところでここからの風景も「これぞ北海道!」です。

 そしてこのナイタイ高原から北に向い北海道一高いところにある三国峠(1139㍍)を抜け層雲峡に出ます。ここでは健脚の方は是非、大雪山に登ってみてください。オススメは7月から9月までの晴れの日の限定ですが、層雲峡ロープウェーに乗りリフトに乗り換え歩きやすい登山道をあまり頑張らずゆっくり1時間ほど登ると・・!大雪山、黒岳。これが「北海道の屋根」と言われる絶景が目の前に広がります。(大雪山の読み方は正式には“だいせつ”です)大雪山というのはこの周辺の山々の総称なのですがこの黒岳を含めて周辺の標高は2000メートル弱ながら森林限界も超えていて大きな木も無くここの広大さは本州のアルプスなど峻険な山々が連なる風景とはまったく違い天空の庭園とでもいうような、「山に登って山を感じる」のが本州だとすると「山に登って広さを感じる」場所です。大雪山はアイヌ語でカムイミンタラ(もう一つはヌタクカムシュッペ=川の廻りくねった奥に立つ山)ともいいこれは「神々の遊ぶ庭」という意味でまさにピッタリの表現だと感じると思います。大雪山は数多くの登山コースがありどこも素晴らしいのですが、やはり山は日程に余裕をもって晴れの日を選んで登るのがいいと思います。

 食の楽しみに関しても釧路は海産物がなんでも有名ですし十勝でよく聞くのは豚丼やジンギスカンですがジャガイモはもちろん豆やそば、乳製品など農産物はなんでも美味しくケーキやお菓子などスイーツも美味しい店の多いところです。

 このように広大な湿原を釧路湿原で味わい広大な大地の十勝平野を展望し、広大な山々を大雪山で感じれば北海道の旅、釧路・十勝・大雪山入門編は大満足だとおもいます。

2015年 12月