冬の暮らし

 ここ清里町の魅力とまた実際に冬の暮らしはどうなのか?ということなどについてお伝えします。

 まず宿をやるのになぜ知名度の低い清里町という場所に決めたかですが、東北海道の市町村をくまなく回って探していて清里町の小高い丘に来たときに「こんな景色のところがあったんだ!」と感激したからです。この感覚は一目惚れというか宝物を掘り当てた感じです。ここからは目の前に日本100名山の大きな斜里岳、北の方向には知床半島の全容と流氷で埋め尽くされるオホーツク海が一望できました。そして周りは大規模な畑作地帯で主に小麦とジャガイモ、砂糖の原料であるてん菜が作られていてまさに北海道の風景!そして私の理想の風景だったのです。それに小さいながらも町の中心部もキレイに整っていてさびれた感じがしなかったということもあります。客商売としては知床や摩周湖、阿寒湖といった一級の観光地のほうがよかったのかもしれません。でもそれよりもまず「ここに住みたい」という気持ちが一番でした。まあ観光地でない分、お客さんに来てもらえるまで何年もかかりましたけど・・

 また私は山登りやハイキング、釣りやカヌーといった野外での遊びが好きなのでその点でも東北海道は理想でした。それに食べ物も海のもの、山のもの、野菜とも最高に美味しいし水は斜里岳や摩周湖からの湧き水でこれ以上のものは無いといえるぐらいの素晴さ。子育ての環境もよく子供らは町の大人が全員、親みたいな感じだし学校の対応も細やかです。もちろん変わった人もいますし冬の猛吹雪や春の強風と土ぼこりなどには困ったものですが総合的にとても住みやすくこころ安らぐ町です。

 でも北海道それもオホーツクと聞くと本州以南の方は天気予報やニュースを見て「冬があんな寒いところ、とても住めないよ」と思う方も多いと思いますが生活をしてみると意外と寒くありません。という寒いと感じることが少ないのです。

 私は埼玉の実家に帰るといつも「家の中が北海道よりず~と寒い」と嘆きいつも震えているのですがこちらではまず暖房が強力。それに家の断熱性能が高いのでとても暖かです。ほとんどの家は室温を20℃以上に設定してあり汗ばむほどでよく「北海道の家では冬は薄着でアイス食べながらビール飲んでるよ」と聞きますがこれは本当です。

そして移住して最初の頃、人の家におじゃましたときに「なんて無駄にエネルギーを使って暑いぐらいにするんだろう?」と思っていましたが体を暑いぐらいしておかないと外に出たときにすぐに凍えてしまって体にも悪いということが体験してみてわかりました。体をいつも暑いぐらいにしておいて外に出たときに寒くなる前にさっと用事を済ませるという感じです。

また気温が低い=寒く感じるということとは必ずしも一致しないということもわかりました。こちらでの冬の最低気温は朝晩にマイナス15~16℃、最高気温は日中でもマイナス6~7℃ですがこういう時は快晴無風のときが多く、外にいても陽射しにあたっていれば寒さはそれほど感じませんし寒さが苦手な私でも外で大工仕事が普通にできます。それよりマイナス1~2℃からマイナス7~8℃ぐらいで低気圧によって強風が吹き荒れることがたまにあるのですがこのときはものすごく寒く感じたちまち凍えるほどで体感温度は風の強さに比例するのがよくわかりました。冬にエゾシカやキタキツネをみたり身近では飼っている犬を観察したりすると皆、風の弱いところを知っていて冬はいかに風に当たらないか、ということが重要だとわかってきます。

でもそんな、年に数回ある猛吹雪の日はJRや学校も休みですし道路も閉鎖されるため外にも出られないので家の中でのんびり過ごすという生活しかできないのですが私はこういうときのように「自然は凄いなぁ~」と感じる時間も大事だと思っています。

それに待っていれば必ず次の日か2~3日後には晴れが来ますから。

 まだ冬のオホーツクを未体験の方は流氷をはじめ素晴らしい光景が広がっていますので是非一度来てみてください。

2015年 5月