この10月に開通したロングトレイルである北海道東トレイルの策定に関わった縁で、日本のロングトレイルの草分けである信越トレイルの一部を歩いてきました。信越トレイルは長野と新潟の県境の山の稜線と集落の古道を主なコースとしている108キロの道。まずは飯山市を目指しました。10年ぶりぐらいに乗った新幹線は「すげぇ~速ぇぇ~」!
2か所の宿に泊まりましたが、どちらもカメムシにはホント困っているようですがこうやって前もって知らせてくれ対処法も教えてくれると助かります。
今回の歩行区間は結東集落から小赤沢集落までの9.7キロ。ガイドしていただいたのは信越トレイルクラブのベテランガイドさん。自然から歴史までなんでも博識。前日に積雪があり8割がたは雪の上の歩行。最初から積雪のつり橋はちょっとビビりました。
昔、子供らが通学したであろう古道を登っていくと見事なブナの森がずっと続いています。この木が無いオホーツクの自分たちにとってはとても新鮮!枝の雪解け水が幹を伝って自分の根本に流れていく様は樹木も効率的な水分摂取を考えているんだと感じ取れます。
雪の上に落葉したカエデ。こんな道を主に歩いていきます。
新潟県津南町と長野県栄村の秘境を秋山郷というのだけど、ここは断崖絶壁の柱状節理に囲まれた深~い谷の奥深くで、あちこちのわずかな平地に数件の集落が点在するホントに凄い秘境!ここまで生活が大変そうな地に最初に移住してきた人は好きで住んだわけじゃないな、隠棲生活のために来たのだな、と直感。調べるとやはり平家の落人や戦国時代の落ち武者たちの伝説はあるようです。
今は住んでいない家も多数だけど崩れゆく建物は一見すると少なく、元住民や今の持ち主の方は大事に管理しているのが伝わってきます。
集落の道路、落ちたら終わりの断崖絶壁の山道と古道、舗装路と素晴らしく多彩なトレイル。
3~4mの積雪というだけあってブナや杉も根本が曲がっているものも多数ありました。森を見上げながら歩いている時間が多かったかな。
雪の上に落ちた紅葉があちこちにあり素晴らしくキレイで感動。
昼はこの時期無人の集落のバーベキューの東屋を使わせていただきお弁当。
谷の向こうの山々を眺めながらの歩き。
獣道のような急斜面の稜線をビビりながら数百メートル登っていくと集落跡が。今は家の痕跡もありません。江戸時代の飢饉で消滅してしまったとか・・自給自足の生活では数十年単位でやってきた天候不順や天変地異に伴う山の幸と作物の凶作は生命の維持に直結していたことを実感。今は科学と技術で食べていけているけど、自然か人為的か、いつか乗り越えられない脅威が来ることは心に留めておかねばならないな・・と考えてしまいました。こんなこともトレイルが伝えてくれることですね。
今回のゴールは小赤沢の苗場山神社。100名山苗場山の登山道の起点になっている集落。普通の登山とは全く違う充実感。素晴らしいコースでした。ガイドさんとともに移動日の初日と最終日はトレイルクラブの方々に維持管理のことなど詳細に教えていただき心から感謝です。これは北海道東トレイルもがんばらねば!
元小学校を改装した宿泊施設は清潔感も温泉の風呂も食事も立地も凄い。朝は絶壁とブナの森の山肌がモルゲンロートで輝いていました。
若い人たちが地元の物で考え抜いて作った食事の一部。食材も料理もちゃんと説明してくれるし接客もとても良く感動しました。次も泊まろう。
今回は積雪で行けなかったけど、この稜線上もトレイルのルート。いつか歩くぞ!
帰路の新幹線、275キロの最高速度でも逆さの空のペットボトルが倒れない日本の技術のは凄い!!これは世界一だと思います!