宿も休みに入り、晴釣雪読を満喫しております。そして悔しいことに老眼鏡の威力の絶大さといったら・・
択捉島のずっと先、カムチャッカ半島の隣りにある千島列島の占守島(シムシュ島)。日本が太平洋戦争の降伏後すぐに侵攻してきたソ連と激戦になった場所。物語は招集された日本兵とその家族、ロシア兵など多角的な視点からそれぞれの人生を綴っているが、国家間の争いである戦争というものがいかに心身を蝕み、平常心と常識を歪め、視野を狭くし悲劇を生むかを描いている。矛盾と理不尽により日本兵、ロシア兵ともに実際の戦闘ではひどく悲惨な状況となっていたようだし、このあとに続くシベリア抑留の悲劇も知らなくてはならない事実。ちょうど数日前、池上彰のTVで占守島の戦いを取り上げていたが、日本人とロシア人の北方領土やこの戦争に関する解釈、考え方の違いが露呈していた。国家の保身のため主張する事実も違うのだから仕方ないが真実はどうなのだろうか?いろいろなことを見聞きするうちに、ここに描かれていること以外に日本も散々非道なことをされてきたし、それ以上にしてきたということがわかってきた。でもそういうことって、特にしてきた非道は学校ではあまり習わない。広い視点からものを考えるためにはもっと知りたいと思った。
そのうち千島へ行ってみたいと軽い気持ちで読み始めたが、読み進むにつれて気分が重くなった。オススメの本ではあるが、北海道の旅を楽しもうとする方には旅が終わってから読むことをオススメします。